命のゆくさき【完】

福子

2008年11月16日

奇跡 私は、学校で教わるずっと前に、母から、私たちが命を得るのは奇跡なんだと教えてもらった。 何度も、何度も。 繰り返し、繰り返し。 『命は大切』だなんて、そんな表面だけの言葉では、どんな風に大切なのかまでは伝わらない。 どうか、この物語を読む時は、自分の身に置き換えて欲しい。 あなたの中に、命が宿るという奇跡を…。

ずっしりと染み込む 命の大切さとその偉大さ。 お腹に宿った無抵抗な命を簡単に手放すことが出来るこのご時世に、深い疑問と嫌気を感じていました。 ずっしりと重厚、いい意味で重い何かが心に染み渡る、素敵な小説でした。

感慨深く素晴らしいです 「命は大事」と誰も が当然として言うこ とが当たり前になっ てしまっている今 日。当然とすること が前提になり、か えってその意味が薄 められているのでは ないかとの疑問が起 こる中で、この作品 は淡々とした語りの 中に命の意味を示し てくれている作品と いえるでしょう。