【完結】にゃんだふる恋愛主義

第三章 /飼い主の過去


―――……



「みぃ、遅かったね」



いつもと同じ新築マンション。

玄関の戸を押し開けると、その向こうで笑う飼い主。


カバンを提げたまま、ちらりと目を向けて

あたしは無言のまま家へと上がりこむ。



「……仕事してたの?」

「うん。みぃのこと待つ間」



起動中のパソコンに目を向けるあたしに

デスクから立ち上がる彼はチョコレートを摘む。


コーヒーの香に甘く混じる。


……心、ほぐされる不思議な感覚に

あたしは思わず顔を伏せた。



「でも、みぃ、まずはお昼寝するでしょ?」



その言葉に小さく頷いて

ベッドサイドにカバンを下ろす。


靴下を脱いで、白いシーツの上足を伸ばすあたしに

彼はもう一度パソコンデスクの椅子を引いた。


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