Help (完)

第五幕:ここから始まる /自分の足で






────あの部屋で過ごした日々は、幻だったかのように思う。なんて言えていればどれだけ幸せだっただろう。



佳那汰に逃がしてもらって真っ先に向かったのはバイト先。

無断欠勤についてたっぷり1時間怒られ、今後こんなことがあればクビだと通告されてしまった挙句、頑張って時給955円まで昇格していたのに罰として初給の830円まで落とされた。最悪。




がっくり肩を落とした直後に「これから入って!」と言われ、いつものようにオーバーワークをして帰宅は24時前。

だから、高校生は21時までって一応法律だか条例だかが定めてんだつーの、あのハゲ!




思いっきりため息をこぼしつつクラクションがやかましい国道を歩く。



ていうかさ、今気づいたんだけど私あれだよね。

一応佳那汰が替えの下着とか服持ってきてくれてたから着替えたりはしてたんだけどさ。今着てる制服は、1週間前から洗ってないんだよねー。




最悪。

くんっとシャツを匂っても、臭くはなかったから安心しだけど。



はぁ、本当、最悪な日々だった。

あの日々が幻だったと言えれば良いけど、この服といい店長に怒られたことといい幻だったなんて死んでも言えない。




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