Help (完)

第五幕:ここから始まる /大泣き華凛ちゃん





────エレベーターに乗って一気に1階まで降りる。

扉が開いた時1階で人が待っていて、涙を見られたくない私は俯いて早足でエレベーターを出た。




「華凛?」



でも名前を呼ばれてつい足を止めてしまった。

顔を上げれば、血のように真っ赤な髪を胸のあたりまで伸ばし、それをひとつに縛った男。

一目見れば意地悪だと思ってしまうほど吊り上った細い瞳。縦長の顔も手伝って狐みたいだ、と思う。



「佳、那汰……」


「え、華凛何でいんの? 逃がしてやったろ? ……つぅか、泣いてんの?」


「っ佳那汰ぁああああああ!」




ドンッと、彼の胸ぐらに飛びついた。

筋肉の堅さがTシャツ越しによく分かる。




「え。えぇ!? 何だよ、華凛、何があったんだよ!?」


「うわぁああああんっ! 嫌いっ、あの人! こわい、ムカつく! 大嫌いっ」


「あの人? 誰のこと? ていうか、本当状況よく分かってないんだけど」


「わぁあああああん!」


「ちょっと、とりあえずうるさいから、泣きやめって。な?」


「ああぁああああああ!」



さらに声をあげて泣いた私は、盛大に佳那汰を困らせていることは分かっていた。でも、我慢なんて出来なかった。

なんていうか、ムカつくんだもん!





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