Help (完)

第五幕:ここから始まる /悪いのはお前だ




赤い瞳をした彼は私の姿を見ると不機嫌そうに眉間に皺を寄せた。



「佳那汰は?」



いきなりの登場に身を固まらせていた私は、彼の質問にすぐには答えられなかった。

たぶんそれが気に入らなかったのだろう。



大股1歩で近づいてきた彼が私のスマホを持つ手を掴み上げた。





「っ」



あまりの素早さにびっくりして声も出なかった。

ガシッと乱暴に掴まれたせいで僅かに痛みをも感じ、スマホを床に落としてしまう。




「答えろ」


「っ……」



カツンッと大きな音を立ててスマホが床に落ちたというのに彼は気にしたそぶりも見せず、ただ私から視線をそらさずに低い声で言ってくるから、体が震えた。




──やっぱり、この人はこわい。というか、乱暴だ。

もっと普通に聞いてくれればいいものを、こうやって迫ってくるから、私はこわくなって何も言えなくなる。



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