Help (完)

第六幕:マシロの罠 /赤い赤い……





────マンションを出て、拍子抜けしてしまった。

そこは私が節南さんに送ってもらったコンビニの横のマンションだったのだ。



唖然として立ち止まる私に構わずスタスタ歩いていこうとする彼を、咄嗟に呼び止める。





「なに」


くるりと振り返った彼は、やはり無表情だった。

赤い瞳が、闇夜に不気味に光る。




「……っあの、その……」


「言いたいことあるならはっきり言え」



ぴしゃりと言い放った彼が、1歩私に近づいてくる。

反射的に1歩後ずさると、彼は少しだけ不機嫌そうな顔をした。眉間に深い深い皺が刻み込まれてしまったのだ。





うっ。

彼を怒らせるのは得策ではない。

だって──





────脳裏に、先ほどの彼の姿が思い浮かんだ。

楽しそうに拳を振り上げる姿は、震え上がるほど恐ろしかった。




ごくりと息を飲んでから、彼を見据えて口を開く。



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