Help (完)

第一幕:狼と出会った /うそつき







「そういえば」




ビクッ!




暗がりから再び狼が現れて肩を跳ね上がらせる。


倒れていた男を見つめすぎたせいか全く気づかなかった。

いや。違うな。きっと音もなく闇夜から現れたせいだ。どうあっても鈍感な私に気付けたとは思えない。




狼の登場に目を見開いた私を見た彼が、不思議そうに首を傾げる。






「どうかしたか」

「……っ……」

「なんだ。またしゃべれねぇのか」






無表情だった。けれど、なんとなく口調は愉しんでいるようにも感じられて、身震いをする。




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