コタエナイトイ (完)

第一幕 /『死にたくない』







次の日、再びその屋上へ向かった。



昨日は変な男に邪魔されて思うようにいかなかったから、今日こそリベンジだ。





今日だって、学校の4階渡り廊下でイメージした。

両腕を広げて、鳥になるつもりで、目を閉じてイメージした。






昨日は足を動かそうとしたからいけなかったんだ。


そうではなく、体を前に傾ける感じがいい。

ケーキバイキングに行ってお腹いっぱい食べる喜びを思い浮かべながら前へ傾けば、幸せに満ち満ちた笑顔で何の躊躇いもなく落ちれる気がする。


重力に負けて勝手に落ちていく笑顔の私が簡単に思い浮かぶ。







……完璧だ。



にっこり笑みを浮かべて、7階の階段を登った足に多少の疲れを感じながら屋上へつながる扉を開けた。








空は紫色だ。


夕方の赤色と夜の藍色が重なるように空を染め上げていて綺麗。




街明かりもぽつぽつ付き始めていて、一番星も見える。




こんな綺麗な世界に落ちれるなら本望だ。






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