コタエナイトイ (完)

第一幕 /『変な奴』





夕方、屋上に辿り着く。





「遅い」




またしても彼はいた。





「約束してないから」




そう言いつつ、柵を乗り越える。





目を閉じて手を広げる。




今日の気分は、葉っぱ。

木から離れてひらひら舞い落ちる葉っぱの気分。



風に吹かれて、髪の毛とかスカートとかぐちゃぐちゃになって、その勢いに流されるように体重を傾ける。









グイッ、と肩を掴まれた。




「危ねぇって」


「落ちたいんだよ」




両手を広げる。




目の前には街が広がっている。

街行く人は少ない裏手の道。


2階建てのお店や家が見える。




駅前の大通りからは少し離れていて、車の音とかあんまり聞こえなくて、好きだ。




「何でそんなにも死にたいわけ?」




ふいに、背後から訊かれた。





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