天使を殺したあたしは。(完)

第四幕 /依存






────その夜の橙馬さんは、記憶とは全然違っていた。

いつもその灰色の瞳で周りの者すべてを威嚇していて、近寄りがたいオーラさえ感じていたのに。



今夜の橙馬さんはひどく弱々しくて。自らの中心に在るモノをなくした、とても脆い存在と成り果てていた。

口を開けば「杏」「杏」って。

どうして死んだ? と繰り返しながらあたしの唇に吸いついてくる。







「……ごめん、なさい……」





キスをしながらいつの間にか眠り果てた彼の銀髪を撫でる。

とさかのように立っていた銀髪は、今は弱々しく垂れさがっている。






「橙馬さん……」






隣で眠るのは初めてじゃあない。

だから、眠れる。



けれど──




天使に申し訳なく思って、あたしはベッドを降りるとソファーに横になって、そっと目を閉じた──





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