天使を殺したあたしは。(完)

第五幕 /命






────連れて来られたのは、ナギの店。

無人のその店に連れ込まれて、あたしはここで殺されるんだろうと妙な確信を感じた。





ゴクリ。


薄暗い橙のあかりをつけたナギが、煙草をくわえてあたしを見据える。

唾を飲み込んだ音が異様に響いて、同時にドクンッドクンッと暴れる心臓が痛い。




ナギは、ただあたしを見ていた。

近視の様に目を細めて。その眉間には不機嫌そうな皺が浮かんでは消えを繰り返し、何か言いたげに時折頬がぴくりと動く。




その動きに合わせてあたしの肩は跳ね上がり、いつ殺されるのかと気が気ではない。






ポケットでは繰り返しスマホが震えている。

きっと橙馬さんだ。

でも、出られる余裕は皆無。1ミリでも動いてしまえば、きっとナギがあたしを殺しにかかってくる。





そう思ってしまうほど、ピリッとした空気が漂っている。






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