天使を殺したあたしは。(完)

第五幕 /束縛






──────身のみ身のまま……。あたしは、ろくに荷物も持たずに家を出てしまった。

たまらなく涙が止まらなくて、橙馬さんにあわせる顔がなかった。




ジクジクと下腹部……と言うべきか、下半身が痛くて、どこか落ち着かなかった。それでも歩いて、あてもなく街を彷徨う。






スマホで時刻を確認すると22時もとっくに過ぎた時間。

財布も持っていたと思ったけれどポケットからはなくなっていた。行為の最中、脱がされた時にポケットから出てしまったのかもしれない。




お金もなく、どこに行くって言うの……?








自分の元の家に戻るっていうのも考えなくはなかった。

でも、独りで居たくない気分だった。誰かに傍にいてほしいってわけではないけれど、独りぼっちで閑散とした部屋に帰るのも嫌だった。



あたしはどうしたいっての?







自分自身に問いながら、クラクションであふれてる国道を歩く。




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