天使を殺したあたしは。(完)

第一幕 /奇跡






振り返るとそこには、黒髪で鋭いつり目の男。

白い息を吐きながら髪をかきあげた彼の耳にシルバーのピアスがキラリと光る。






「勝手に帰んな。あぶねぇ」


「……」


「送るから乗れっつったろ」


「……知らない人の単車になんて、乗れない」


「は?」







あたしの言葉に、彼は顔を歪めた。






何よ。あんたが言ったことでしょ。

なんて思いながら唇を尖らせると、彼は小さく舌打ちを漏らした。





「璃都を知っときながらオレの事は知らねぇってのかよ」


「はぁ? 知るわけないでしょ?」


「……ったく。これだから女は。璃都しか見えてねぇとか、アホくさ……」


「っ悪かったわね。トモダチは璃都さんしか教えてくれなかったし。ていうか、本当に、あなただれ?」





なんとなくムカついて噛みつくように言い返すと、彼は大きく目を見開いてあたしを凝視してくる。





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