Help Ⅲ(完)

第十二幕:過去の鎖 /傷ついた狼




まず、私はとんでもなく方向音痴かもしれない事に初めて気づいた。

というのも、パラソルから海の家近くのシャワールームに行きたかったのに、シャワールームの入り口をなかなか見つけられず、まずそこで5分ぐらい迷ってしまった。




そのあと、シャワーでしっかりと潮を落としてから着替えて、駐車場に向かおうと思ったんだけど、その位置もよく分からなかった。



車をどこに停めたかなんて覚えていないし、そもそも第4駐車場まであるのだ。どの駐車場に停めたのかすら覚えてない。

しかも私は、例の事故でスマホを壊してから新調していないせいで、あいにくスマホを持っていなくてミカちゃん達に連絡の取りようがない。




だから、さんさんと陽が照らす中、クロックスを足に引っかけて歩き回るしかない。

……せっかくシャワーを浴びたのに、すでに首筋にじっとり汗をかいてしまっていて、おまけに白いワンピースの背中が張り付いているのを感じる。




つらい。

もう16時も来るって言うのに容赦なく降り注いでくる太陽に負けて、肌は赤くなっていた。

ひりひりして、きっと今日のお風呂で苦しむことになるんだろうなぁ、って自分でも分かる。





ブォンブォン──

どこかでバイクの音がしている。


夏だもの。走り回る人もいるよねぇ……。








……車、どこ。





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