Help Ⅲ(完)





でも、ばかな私の頭では、やっぱり全然理解できない。




ええっと?


つまり、ふたつのチームに大事にされてるオヒメサマが、さらに別の何者かにさらわれて?

オヒメサマを守りきれなかったから、ボスさんは『太陽』に責められて報復されてて?



ボスはそんな中でもオヒメサマを探し、助けだそうと人手を求めるけど。

ミカちゃんはそれに協力してあげてないから、ボスさんはミカちゃんを動かすために脅しをかけようと、ミカちゃんの傍にいる私に近づいてきた、って事?





……何それ。ボスさん、私を捕らえて人質にしようとしたってことでしょ? ……こわっ。




おもわずブルッと震えあがった瞬間、脳裏に赤い瞳と愉しそうに笑う彼の顔が思い浮かんだ。

それは、見るだけで背筋が冷たくなるような顔つきで、私は、かつて、その表情をした狼に追い詰められたことがある様な……そんな気がして、そばにいるミカちゃんの腕に掴まる。




「華凜、どうかした?」


「……狼の恐ろしい顔が思い浮かぶの。少しだけしか思い出せないのに、こわい顔ばっかりが頭に浮かんできて、とってもいやな気分……。狼は、とてつもなく、おそろしい人?」


「そうだよ。でも大丈夫。華凜のことは僕達が守る。絶対、ボスには会わせない。けれど、僕と一緒に外に出ると、いつまたボスが来るか分からないから────落ち着くまで、この家でおとなしくできるね?」


「うん、分かった」





素直に頷くと、彼は「良い子」って私を抱きしめて、触れるだけのキスを落とす。






よく分からないけれど、ミカちゃんがここにいろというのなら、いる。



ここで、ゆっくり、狼について考えてみる。そうすれば、ぜんぶ思い出せるんじゃないか──いや、こわい事を思いだすだけか。




分からないけれど、私に今できる事は、ミカちゃんの言う事に従い、はやく記憶を取り戻す事だって、そう思う。





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