Help Ⅲ(完)

第十二幕:過去の鎖 /本性





────よく分からないモヤモヤが胸の奥に沈んだ。




あの黒猫面の人のことは、まったく分からない。

思い出せないどころか、狼や春を見た時みたいな頭痛すら襲ってこなくて、本当に彼は私の知り合いだったんだろうか、なんて思いすらある。




けれど、胸の奥底が無性に熱くて、けどそれが心地良くもあって、不思議な感覚だ。

……悪くない、ってそう思う。






ふぅ、と深く息を吐いてから立ち上がる。






私の足は、黒猫面の彼が拭ってくれたおかげですっかり綺麗になっている。おまけに、下駄も履かせてくれている。

私自身、どこで脱げてしまったかも分からないのに、彼は両方とも拾って、持ってきてくれた。

……どこかで見ていたのだろうか。はたまた偶然?




分からないけど彼が悪い人じゃないっていうのは分かった。




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