Help Ⅲ(完)






立ち上がってから軽く頭に触れると、髪の毛になにか棒のようなものが刺さっているのが分かった。そして、その棒からぶら下がる玉がついているのも。

……落としてしまったかんざしだ、と根拠のない確信があった。




見なくても分かる。下駄すら届けてくれた彼の事だ。きっとかんざしも届けてくれたに違いない。







やっぱり、彼は優しい人。

……まったく思い出せないけれど。








心を落ち着けるように再び大きく息をつくと、少し離れた位置に見える屋台通りを見据える。



戻ろう、ミカちゃんのもとへ。



走ったせいで着崩れた浴衣をささっと直して1歩足を進める。






「────あッ……あん……っ」




その時、小さく、卑猥な声がして顔を歪めてしまう。



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