Help Ⅲ(完)

第十二幕:過去の鎖 /バ華凜





────ミカちゃんの家に着くなり、有無を言わさずシャワールームに突っこまれた。





「汗流しておいで。ゆっくり浴びれば良いから。屋台の煙の臭いもいっぱいついてるし、ゆっくり、ね。もしも怪我してたら、その後に治療するから」


「ミカちゃんが治療してくれるの?」


「春が、だから。さっさと行く!」




目の前でぴしゃりと扉を閉められてびっくりしたけど、すぐに口元が緩んでおもわず笑ってしまった。

本当、ミカちゃんって優しいけど優しくない。

なんていうか、素直じゃない。あまのじゃくだ、あまのじゃく。




クスクス笑いながら浴衣を脱いで、ぬるめのシャワーを頭から浴びた。




少しだけお湯が肌に染みる。

目立つ怪我はあまりないのだけど……あ、下駄の鼻緒でちょっとだけ指の間が切れてる。ここが1番痛い場所だなぁ。





なんて思いながらお湯を止めて脱衣所に出ると、いつの間にか浴衣はなくなっていて、代わりに私の着替えが置かれていた。

春……いや、ミカちゃんかな。やっぱり、優しいんだから、まったく。





クスクス笑いながらリビングに行くと、ミカちゃんは無言でシャワー室に入っていった。彼女も汗を流すのだろう。すぐに音が聞こえてきた。




「華凜ちゃん、突っ立っとらんで座ったら? 髪乾かしちゃる」





春の言葉に甘えてソファーに座る。

すぐにドライヤー片手に髪を梳きはじめた彼。









「びっくりしたやろ」



聞こえるか聞こえないか微妙な大きさの声で響いたその声に、小さく頷いた。




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