Help Ⅲ(完)

第十三幕:繋がった関係 /過去





────赤。赤。赤。赤。

視界を赤く染めたのは、両親の血の色だった。






交通事故だった。

パパとママと一緒に出かけていて、私は後部席で寝転んでいた。



そんな時、いきなり衝撃が身を襲い、目をあけてはいられなくて。


全身に痛みが走り、気づいた時には、私はコンクリートの上に投げ出されていて、目の前に乗っていたはずの車が無残な姿になって存在していた。

その隙間から、血まみれのパパが必死にこちらに手を伸ばしてきた。




「か、りん……」


「っ……いやぁ!」



ひしゃげた声で名前を呼びながら伸びてくる赤く染まった手がこわくて、叫び声をあげて振り払ってしまった。




パンッと振り落とされたそれは、力なく地に触れる。

私を向いた手は、真っ赤な液体に浸っていた。



こわくて、もうこちらに手を伸ばさないでほしくて、私は気付いた時には泣いていた。





パパは、それ以降こちらに手は伸ばさなかった。


ただ泣く私を見て微笑んで、数分後、目をあけなくなった。








その後駆けつけてくれた警察だかなんだかの人に、両親が亡くなったことを告げられ、親戚が見つかるまで施設に居るよう手配された。

脳裏に焼き付いた血まみれのパパが忘れられなくてふさぎ込んでいるうちに祖父母が見つかり、羽柴の本家に連れて行かれた。



待ち受けていたのは、白い目。

誰もが「メイワク」って視線で私を射抜いて来て──






ああ、私の居場所は、あの日、パパの手を振り払った時に失われてしまったんだ、と理解した。




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