Help Ⅲ(完)

第十二幕:過去の鎖 /海といえば……




それから春は毎日来てくれた。

会う度にズキズキ痛む頭を抱える私を、ミカちゃんは異様なほど心配してくれて「もう春には会わない方が良い」「苦しむ行為はやめろ」と言って来たけれど、私は首を振り続けた。

そんな私を春までもが心配して来るけど、かたくなに否定した。




絶対やめない。

思い出すって決めたんだから……!




「華凜ちゃん、大丈夫? 今日はもうやめた方がええんちゃう?」


「……大丈夫だよ。あと少しで、記憶の奥の何かに届きそうなのに、痛みが邪魔するだけだから」


「……何でそんなに思い出したいん?」


「思い出せって、痛みが叫んでる。頭の奥で、私になにかを伝えたがってる。でも、邪魔するように叫びもするの……。変だよね」


「……華凜ちゃん」



春は私の言葉に、青い瞳を心配そうに揺らしながら見つめて来たから、アイスココアを片手に弱々しく笑って見せる。




「心配しないで。大丈夫だから。遊ぼ」




別に、春とは忘れてしまった記憶について話をすることはない。

本当は訊きたかったけれど「華凜ちゃんにとって辛いことばかりやよ?」って春が言ったせいでミカちゃんが声を荒げて反対したのだ。

だから、ミカちゃんの前でこれ以上過去の話はNG。




まぁ、一緒に居るだけでも刺激になっているのか、偏頭痛の様に少しだけ頭が痛むから、会うだけでも前に進めているのだと信じたい。

だから、春とは部屋で毎日トランプ三昧。



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