Help Ⅳ(完)

第十五幕:追い詰められた心 /恐怖心





「────良いか。何食わぬ顔で帰れ。迷子になったと言い張れ。修学旅行が終わったら、1人で俺の家に来い」






その部屋──ホテルの一室だったらしそこを出ると、空はまだオレンジ色だった。

日付は変わっていないらしく、遊園地まで送り届けてくれた彼は、私を車から降ろす時に囁いた。




「約束を破れば、全総力で、お前の大事な人間を傷つける」


「……節南さんって、相変わらず最低」


「……暴言を許すのは、今だけだ。俺の家に来たら、聞きたいことがある。言いたいこともある。……逃げるなよ」


「ひーくんを傷つけないなら、従ってあげるよ」


「……お前、怯えないんだな」




ふと、彼が呟いた。

冷めたような声色に、私はフッと乾いた笑みを漏らして見せる。




「前はもっと怯えて、ばかっぽく慌てふためいて、見ていて面白かったのに」


「……ひーくんに再会して、元の自分を思い出しただけ。私はもともと、お人形みたいな性格だから」





スイッチが切り替わったかのように心が落ち着いているのは自分でもびっくりだけど。

ひーくんがこんな私でも好きだと言ってくれるから、このままで良い。




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