Help Ⅳ(完)





「あ、カーリー、真雪、おかえり」




しかし。

違和感を胸に抱えたまま玄関で立ち尽くしていると不意に声をかけられ思考を中断してしまう。





「ただいま」と返事する前にぎゅうっと抱擁され、トクンッと心臓が高鳴る。





しかし、それでも頭には脱ぎ散らかされたスニーカーについてぐるぐる廻る。




だって、ひーくんは、私のいとこで、羽柴の家の親族──

あのおばさんの息子なわけだし、いくら不良とはいえきちんと作法をわきまえている。



だからご飯の食べ方は綺麗だし、おばさんの機嫌を損ねない様に早く帰宅して見せたり、外泊はあまりしなかったりって、ひーくんはひーくんでおばさんの機嫌を損ねない様に気をつかって生きているのだ。

そんな彼が、スニーカーを揃えないなんてありえない。

というか、いままで靴をそろえずに上がった彼を見た事がない。



と、言えるほど、彼は常識的な作法は完璧な、見た目も行動も、基本的には王子様な人間なのだ。







だから、そんな彼が靴をそろえてないという事はよっぽどな事があったんじゃないか、って思った。

脱ぎ散らかされた靴を見れば見るほどそうとしか考えられなくって、彼にソッと抱擁し返して「ただいま」を言い、早く部屋に入ろうとしたけど、それをひーくんは引き留める。



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