Help Ⅳ(完)

第十六幕:裏切りの涙 /共に在りたい






────身を包んだ黒いマントに、目深にかぶったとんがった帽子。

制服の紺色スカートに合わない紫と黒のボーダーニーハイソックスに包まれた足が必死に地面を蹴っていた。




とんでいきそうになる帽子を必死に抑えて、できるだけ顔を見せないように俯きながら走った。





どこに『太陽』の人間がいるか分からない。

節南さんを探すためにローラー作戦をしている人間もいるだろうけど、数人は常に街を見回っているのも知っている。




どこで見つかってひーくんに連絡されるかなんて分かったものじゃない。



とにかく早く、節南さんの家に向かわなきゃいけない。





騒ぐ若者の群れを縫いながら身を隠す。

衛藤さんが作ってくれたチャンスを、私は絶対に無駄にはしない。









────ひーくん、ごめんね。

また、さよなら、だね……。





ちょっと流れてきた涙はひどく自己中心的なものに感じたから、必死になんでもない風を装って頬を拭った。

嗚咽のせいで苦しくなる息。

酸素を求めるように大きな口をあけて上を向けば、更なる涙が頬を伝ってみっともない。








「っ……ごめ、んね……っ」




私のせいでみんなを傷つけた。




でも私がこうして勝手に消えちゃえば、みんなを心配させてしまうだろう。

そんな事は分かってはいるけど、もう他に道はないんだ。





私さえ犠牲になれば、みんなは助かる。

それで、良い。




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