Help Ⅳ(完)

第十四幕:裏切りの連鎖 /後退





「──なるほど。ここなら一緒に居られるね」




新幹線で隣の席に座ってため息を吐いた真雪くんにニヘラッと情けない笑みを向けた。





私と彼が座っているのは、先生の席の近く。つまり、酔った人や体調が悪い人が座る席だ。

普通はクラスごとに座ってるわけだけど、体調不良者はいつでも教師が助けられるように席を移動するように言われるんだよね。





「ここなら、クラスが違う私達が一緒に座ってても不自然じゃないでしょ。できるだけ近くに居た方が真雪くん的にも安心で良いんじゃない?」


「そうだね。それは認めるよ。でも、あんたからこんな仮病使ってまで傍に居て、なんて言われるとは思わなかった」


「……あんまり、クラスの席にいたくないの」





あのクラスメイト達は悪気はなかっただろう、きっと。

でも、やっぱりあの席に戻るのは気が重くて。




どうにか、一緒に居て気が楽な人と座っていたいと思った手前、ちょうど良かった。





真雪くんと一緒に居れば節南さんの動きだってすぐに分かるし。彼としても私が目の届く位置に居た方が安心できるだろうし。

良いことしかないでしょ、この席。




「クラスに居たくないって……どうしたの。何かあったの? って、あ、そっか。あんた友達いなかったっけ? そりゃ、グループ行動満載のこの旅行はそんなに楽しめないかもしれないね。ご愁傷様」




私が答える前に彼の中で答えが出たようだ。

嘆息を吐いて、ひとり納得したように頷いた彼の言葉は全部正解だから、私はヘラッと笑い続ける事しかできない。




「最初はね、普通にお話ししてくれてたんだけどね。自覚のない悪口目の前で言われてキモチワルくなっちゃった」


「悪口?」


「中学の時の噂話」




それだけで分かったのか、彼は「ああ」と頷いた。




それだけ。

それ以上の反応は何もなかったから、私もそれ以上は語らなかった。



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