Help Ⅳ(完)

第十六幕:裏切りの涙 /日々






「ずっとユイといたのかよ」





家に帰ると、節南さんはソファーに座ったまま、膝に雑誌を広げた態勢で私を見上げてきた。



ユイ先生の車でマンションまで送ってもらって部屋に入ったばかりの私は、その言葉を受けて身を固まらせる。




「え……? うん。そりゃあ、補習だったし。それがどうかした?」


「……べつに」




プイッと顔をそらした彼が口をへの字に曲げる。

視線を雑誌に落とした彼の前のテーブルには灰皿が置かれていて、そこには山のように煙草の吸殻がたまっている。



いつも数本は置かれているけど、プレートの底が見えないほど山積みになってるのを見るのは初めてかもしれない。

あれはひと箱丸ごと吸い終えたより多い量だね。



そんなに吸ったら体悪くしちゃうよ、まったく。


なんて思いながらも「着替えてくる」と、みんなの部屋に向かおうとしたとき。





「明日も、ユイと補習か」


「あ、うん。でも今日の課題頑張ったから、明日はちょっとだけ減らしてくれるって言ってた」


「……ふぅーん」


「明日もユイ先生が送ってくれるって」


「俺が迎えに行く」




0
  • しおりをはさむ
  • 197
  • 3284
/ 431ページ
このページを編集する