Help Ⅳ(完)







ズドンと。まるでピストルから飛び出した弾丸の様な速さの言葉に驚いて目を見開くと、節南さんの赤い瞳が、再びこちらを見ていた。



炎のように揺らめいて、静かに獲物を狙う獣のように真剣な眼差しにドキッと心臓が跳ねる。


おもわず持っていたカバンの肩ひもを強く握りしめて身構えてしまう。





「明日は、どんなに遅くなっても迎えに行くから、絶対連絡入れろ」


「で、でも、もうユイ先生と約束してるし」


「断れ」


「わ、悪いし、そんなの」


「俺の身内だ、気にするな。決定。以上」


「っ」




勝手に決められた事に腹が立って、ぐっと下唇を噛みしめる。

そりゃあ、わざわざユイ先生に送ってもらうのは悪いし、第一、教師が一人の生徒を車で送るなんて良くない事だと思うよ?



でも、私の頭がお粗末なせいで長時間補習に付きあわせてるわけだし、もうユイ先生には頭が上がらないから、逆らえないんだよね。……あの人の笑顔、こわいし。

逆らったら課題倍にされそうだし、授業も今まで以上に集中砲火だろうし。




だからあの人が「送る」というのならおとなしく従うのが正しいと思う。さわらぬ神にたたりなし、的な。



0
  • しおりをはさむ
  • 197
  • 3311
/ 431ページ
このページを編集する