Help Ⅳ(完)

第十四幕:裏切りの連鎖 /流されるな




視界に映った男──


ゆらゆら揺らめく、赤い神秘的な瞳。

整いすぎて気持ち悪いほど綺麗な、芸術品かと錯覚するほど美しいパーツを兼ね備えた顔立ち。

白い肌は陶器のようで、肌荒れなんて考えらんない。おもわず撫でたくなる顎ラインがやけにセクシーだ。


黒いサラサラの髪の毛。前髪は長いのだけど、床に転げる私を見下ろしているせいで垂れたそれ──おかげで、彼の瞳がはっきりと見えて、困る。






心の臓を射抜かれたような衝撃を受けて、ドクンッと心臓がやかましく暴れた。







どうしてここに?

そう思わずにいられなくて。




驚きのあまり声が出なくて、何度も口を開閉させる。

まるで餌を求める魚みたいだ、なんて、天井の鏡に映る自分を見て思う。









彼は、芸術品のように綺麗な顔を歪めて、眉間に皺を寄せていた。

少し疲れたように荒い息を吐いた彼が、私を見下ろしてクッと口角をあげる。




「見つけた」



もう一度言った彼が、素早く私の肩に手を回した。

されるがままに起こされ、そのまま腕を引かれて立ち上がらされる。




真っ向から、彼を見据えた。

いまだに見開いた瞳のまま口をパクパクさせる私は、それはそれはマヌケに映っているだろう。



でも……。だって……。



彼が、こんなところにいるなんて、普通思わないじゃん。

そもそも行方知れずだったんじゃないっけ?






「っ節南、さん!? どうしてここに!?」


「──っ! ぐ、あ!」




私が声を張り上げた一瞬後だった。

真雪くんの苦しげな声が響いた。



0
  • しおりをはさむ
  • 197
  • 3318
/ 431ページ
このページを編集する