Help Ⅴ(完)

第十七幕:地獄の生活 /暗号







────連れて帰られた、懐かしさすら感じる節南さんの家。



多少乱暴に部屋に押し込まれて、戸惑いながらミカちゃんを見つめる。

彼女はドサッとソファーに座ると顔を歪めてこちらに視線を寄越した。




カフェオレ色の瞳が濁ってる。

怒ったような強いまなざしに心臓が飛び跳ねて、彼女の正面で立ち尽くしたままその視線を一身に受けとめた。






「……助けられた、なんて思わないでよ。脱走したオモチャ、取り返しに行っただけだから」


「……」


「手間、かけた代償は分かってるよね?」




さらっとしたミカちゃんの手が、私の手に触れた。

その拍子に、ずっと掴んでいたウサギのぬいぐるみの残骸をようやく手放した。



それを踏みつけるかのように立ち上がった彼女が、私の後頭部に手を添える。






「ンッ……」




食らうようなキスは久しぶりで、おもわず彼女の舌を噛みそうになった。




目を見開いたまま、私を観察するように見てくるカフェオレ色の瞳が苦く色あせる。




「んっ、んんん……っ」





忘れてた。やっぱり、彼女達は悪魔だった。

いや、でも、今日だって──






「は、ぁ……。……最後までスル気、ないくせに」





解放された唇で呟いた瞬間だった。

ミカちゃんが、あからさまに目を見開いたのは。



0
  • しおりをはさむ
  • 315
  • 3311
/ 420ページ
このページを編集する