Help Ⅴ(完)

第十八幕:選んだ結末 /似た者同士





「節南さん」




私が、薄暗い月明かりの下、彼の元に姿を現すのは何度目になるだろう。






元『羅刹』系組織が、『羅刹』解散に伴い秩序を乱して街で暴れているという情報を掴んだミカちゃんに連れられて、その現場で張っていた。




音もなく現れた狼は、白い牙に月光を反射させながら踊るようにこぶしを振り上げ、高揚を咆哮に変えてそれを沈めた。






たったひとりで、30人の、金属パイプや鉄パイプを持った集団に立ち向かう──




常識的には考えられないその姿に、咄嗟にそばに居たミカちゃんを見上げたけど、彼女はからっと笑って「節南なら大丈夫でしょ」って楽観的に言った。







まぁ、宣言通り、彼は全てを独りで沈めたんだけど。





でも、その綺麗な顔にこぶしがめり込むたび、腕で金属バットを受け止めるたび、冷たいコンクリートに膝をつくたび、私は全身に力を込めて身を縮こまらせてしまった。





節南さんが悪魔のように強いのは知っている。





でも、理性なんて微塵も残っていなさそうなギラついた瞳で敵を睨みあげる獣を、少しばかり心配してしまった。

もしかしたら、負けるじゃないか、って。




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