Help Ⅴ(完)

第二十幕:愛憎の狂気 /金狼







「カーリー……?」




戸惑いを含んだ声に大げさすぎるほど体を揺らした私は、見開かれたグリーンアイから逃げる事が出来なかった。

瞳の奥の奥を捕らえられてしまって、逸らす事の出来ない力強さと歪みにまみれた視線がこわくて、息すらおぼつかなくなるほど──その視線が、心に突き刺さってイタイ。




不気味にユラッと揺れた焦点の合わない瞳は酷い愛執と狂気を感じて、大好きな目のはずなのにこわくて溜まらない。





地面に崩れ落ちた膝の方が痛いはずなのに、彼に見られていることが痛くて苦しくて、今すぐ心臓を吐き出してしまいたい衝動に駆られた。







けれど。逃げたいのに、全身のどこにも力を入れられない。






ただ、自分の体じゃないみたいに震えて、胃の中をぐちゃぐちゃにかき回されたような気持ち悪さを感じて。

この場から消えてしまいたいほど、彼の顔を見ていたくない。







こわい。







時間よ、止まれ。

ううん。時間よ、巻き戻れ。


私が節南さんに奪われるより前に戻ってしまえ。




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