Help Ⅴ(完)

第二十幕:愛憎の狂気 /君の手で死にたい




目が覚めると、頭上には真っ白な天井。





あれ……? 生きてる……?





節南さんに対して今までにないほど怒ったひーくんの怒気にあてられて身動き一つできなくなった私は、ひーくんに痛いほどに首を絞められたままキスをされ続けて、あっという間に気を失ったはずだった。

最期の時、このまま死ぬんだと本気で思ったのに……生きてる。




ごく、と息を飲んで、そっと喉に触れる。




ここを、苦しいほどに抑え込まれて、本当に頭が熱くなって死にそうだった。なのに、どうして……。





ゆっくり体を起こす。







ドクリ──



視線の先。

ベッドの先にある黒いソファー……どこだろう、ここ。と思うと同時にそこに座ってこちらを見据えてくる獣を見て嫌に心臓が脈打った。

虚ろな、どこを見ているかも分からないような渇いた視線で私を捕らえる彼が、無表情のまま不気味に首を傾げる。





ドクンッ──


布擦れの音をさせながら立ち上がった彼が、白いVネックのシャツにジーパン姿と言うラフな格好で、髪も寝起きかのように少しぼさっとしたままで、ふらりと近づいてきた。




ドクドクと脈打つ全身の血管が妙に熱い。

呼吸が早くなるのはきっと、彼を恐れているからだ。




胸の前で両手を握りしめて、ただ虚ろな瞳から視線をそらせず彼の一挙一動に意識を集中させる。




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