Help Ⅴ(完)

最終幕:サヨナラ /鼓動





勢いのまま駆け出したボクは、体が全快でない事すら忘れて廊下を走っていた。





その時、前方から歩いてくる見知った人影を見つける。

でも、止まってる暇なんかない!




だらしなく黒髪で顔を隠した、黒き狼をシカトしてさらにスピードを速めると、僕の存在に気が付いたんだろう彼が大きく目を見開いた。





「おい、どうした──」




声をかけようとしてくれたそれすら無視して、脇をすり抜け──





「グッ」




すり抜けられなかった。

あからさまにヒョイッと出された足に反応できず、そのまま彼の足に躓いて転げてしまった。

膝を強く打ちつけて顔を歪めていると、影が差した。



その影を作ったのが誰か、なんて単純明快な事、考えなくても分かる。

憎々しく思いながら彼を見上げると、顔を歪めた狼──もとい節南がボクを見下ろしていた。







「何があった」





落とされた言葉も、単純。

ボクのただならぬ様子から察したんだろう彼が、威圧するようなどす黒いオーラを纏いながらボクを見下ろす。



鋭く尖った瞳に弾丸の様な力強さを感じて「ああ、逃げれないや」と早々に悟ったボクは、しぶしぶ口を尖らせながら立ち上がる。




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