Help -After- (完)

第十四話:突然の拒絶



「節南、さん?……節南さん!」






床に転がされた彼は1ミリも動かない。

私と同じように両手足を縛られた彼には痛めつけられた痕があって、さらに不安になる。




あの節南さんが、こんな風に捕まった上に意識を飛ばすなんてありえない。






信じたくなくて。心配で。

傍に座って必死に名前を叫んだけど、節南さんは気を失ったまま反応してくれない。





ただ、黒い艶々の髪に少しだけ隠された顔を見ると苦しそうに歪んでいて、彼の体がさらに心配になる。

だって、気を失うくらい殴られたから、こうして縛られているんでしょう?





あのバケモノじみた強さを誇る節南さんが捕まる理由なんて他にない。いったいどれだけの人数に囲まれたら、こんな姿になるんだろう。





無性に泣きたくなった。

けど、泣いてる場合じゃないと思い直して、必死に奥歯を噛み締めて耐える。






「ハハッ、節南の名前呼んで泣くって事はやっぱりあんたはお気に入りか。自分で自分の嘘を暴いたも同然だな」




けれど、不意に響いた敵の声に、身が凍った。

そうだった。しまった。と思った時にはもう遅い。





可笑しそうに笑った敵が、ゆっくりとこちらに近づいてくる。







やだ。

どうしよう。


どうすれば良い……っ!?





節南さんの登場と、私自身の言動のせいで、もうハッタリは効かないことが分かった。

目の前の男達に何を言っても信じてもらえないだろう。




じゃあ、どうすれば、節南さんを抱えて逃げられるだろうか。

少なくともこの手足のかせだけはどうにかしないと、何もできやしない。






「ハッ。コイツが目覚めたとき、お気に入りが壊されてたらコイツ、どんな顔するかな」


「超楽しみ」


「ざまぁみろだな」





男達の大きな手が伸びてくる。

ゲラゲラ笑う彼等がとんでもない怪物に見えて、体が震えた。





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