心月の夜想曲 上弦 【完】

初月 〜プロローグ〜 /誓い、それから・・・


私には、生まれる前から名前も知らない婚約者がいる

そして、私が生まれた時からいた同い年の、誰よりも深く想っている人がいる


その人は、町田優介


色白で、栗色の髪、亜麻色のくっきりとした瞳が綺麗な、私の好きな人であり、鷹場家の使用人筆頭の孫息子、そして私専属の世話係


互いが初恋で、自覚したのは幼稚園児の頃


「僕、葵ちゃんとけっこんしたい。葵ちゃんのこと、大好きだから。けっこんすれば、ずっと一緒にいれる。ずっと守れる。だから、けっこんしよう?」


「うん!絶対、絶対、しようね!」



「うん、絶対だよ。絶対けっこんして、葵ちゃんを守るって、神様に誓うよ。だから、葵ちゃん、ずっと僕のそばにいるって、誓って?」


「分かった!ゆっちゃんのそばに、ずっとずっといるって、私も神様に誓います」


まだ、何も知らない、5歳の時


広い庭園で叶わない将来の約束を誓った

夕陽に照らされながら、絶対だよ、と言ったゆっちゃんと交わした初めてのキスをした時の柔らかさと温かさと嬉しさは、忘れない



そして、時が経つ毎に、ゆっちゃんとのキスは軽いものから深いものへと変わっていった


中等部1年の夏のある日


普段みたいに何度も唇を重ねていると、


「葵様、少しお口を開けてください」

不意にそう言われ、私は訳が分からないまま浅く口を開いた

するとゆっちゃんは、私の口の中に舌に滑り込ませ、次第に私の舌に絡ませていく

身体がいつも以上に火照り、全身から火が吹きそう


息が苦しい、けどキモチイイ

ゆっちゃんと私は、互いに息を弾ませながら絡み合うキスを何度も繰り返した


当時、どんなキスか知らなかった私は、のちにこれが俗にいう“ディープキス”と知る



しかし、キスで繋がっていた私達は次第に、どんなに深いキスをしても、心や、身体が充たされなくなっていた


高等部1年の冬のある夜

耐え難い極寒のせいで物凄く寒くて、ベッドの上でゆっちゃんと身体を絡ませて温まりながら、眠りにつこうとしていた

寝る前に、日課となったゆっちゃんと深いをキスをしてから、私が瞼を閉じようとした時

「お嬢様、寒くはございませんか?お寒いのなら、僕が暖めて差し上げましょう」


私を背後から抱きしめるように横たえているゆっちゃんは、ゆっくりと私の身体に手を這い回して、下腹部で手を止めると、私のショーツを両手で脱がした

けど、ゆっちゃんの手の動きは脱がしたところでぴたりと止まる


ゆっちゃんは、思い留まったんだと思う

私はゆっちゃんの本当の気持ちが知りたくて、羞恥心に包まれながらゆっちゃんの手を取り、敏感な場所へと自ら誘導した

初め、手を離そうとしたゆっちゃんの手は、私が押さえつけると長い指で敏感の中をゆっくりと出入りし始める

「んっ…、ぁっ…」

指を動かされるたびに、私の唇から甘い吐息が漏れる


ゆっくり、じっくり、焦らすような動きに全身が反応して、私は電流が流れているかのように何度も身体を跳ね上がらせた


生まれて初めての未知な感覚、私は絶頂という新しい快感を覚えた


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