心月の夜想曲 上弦 【完】

月蝕のようにゆっくりと・・・ /一月蝕

「葵様。おはようございます。朝でございます。早く起きてください」

目覚まし時計の音と、ゆっちゃんの声で、私の一日は始まる。

「う〜〜ん、まだ眠い。後5分だけ寝かせて」

高校の制服姿のゆっちゃんがはいだ布団をもう一度掛けて、眠りに戻ろうとする私。


「毎朝、そうですね。早く起きて、学校に行く支度をして下さいませ。遅刻致しますよ」

溜め息混じりにそう言われても、私は更に布団に潜る。

それから、数分後。

私は、バサッと一気に布団を引き摺り落とされて、寒さで目が覚めた。

2月の、卒業間近のこの季節。の、朝は、強烈に寒い。

私の二度寝防止の為、毎朝私より先に起床するゆっちゃんに暖房を切られて、めちゃくちゃ寒い。

ぶるっと身震いをしながら、のそのそと身体を起こした。

「ゆっちゃん〜。いっつもそうやって布団取り上げないでよ〜。寒いじゃん。凍死させる気?」

いつもそう文句を言っても、ゆっちゃんの耳には届かない。

「寝起きが悪いのはお小さい時からですが、いい加減治してください。さぁ、起きたのならベッドから出て早く動き出して、用意して下さい」


「ねえ、着替え。今日も手伝ってくれるでしょ?」

私に指示を出しながら、クローゼットの中から私の制服を取り出すゆっちゃんの後ろ姿に、寝起きのはっきりしない頭で、そう訊く。


「お嬢様のご命令なら」





0
  • しおりをはさむ
  • 23
  • 77
/ 494ページ
このページを編集する