心月の夜想曲 上弦 【完】

月蝕のようにゆっくりと・・・ /八月蝕

春の陽気に包まれた日曜日の、朝11時50分くらいの頃。


昨夜なかなか寝付けず睡眠不足の私は、両親は急な仕事で早朝から出ていたので、用意された朝食をゆっちゃんと二人だけで済ませた後、自室の姿見の前に立っていた。



というより、ゆっちゃんに立たされていた。



「もう、このワンピースでいいじゃん」



ブラとショーツだけの私は、オフショルダーのオフホワイトの膝上丈のワンピースを、ゆっちゃんに見せる。



「肩と脚が出過ぎで、風邪を引かないか心配です」



ゆっちゃんは、私が決めた服について、必ず一つや二つ文句を付けていて、私に決めさせようとしなかった。



今みたいな感じで、丈が足りなさ過ぎですとか、まだ春先なんですからもう少し厚みのある服にして下さい、とか。



この問答を、かれこれ二時間近く、繰り返している。



もうあと、10分くらいで結城さんが迎えに来てしまうのに、ゆっちゃんは私に服を着せようとしなかった。




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