心月の夜想曲 上弦 【完】

月蝕のようにゆっくりと・・・ /九月蝕

結城さんは、鍵をかけた後、廊下の壁に設置してあるスイッチを押して、全部屋の電気をつけた。



私は、ローシューズを脱いで、玄関先からリビングまで部屋全体を見渡す。



まだ室内は、誰も生活していない真新しい雰囲気で、室内に使われている木材の香りが漂っている。



結城さんは先立って、私に部屋の案内をした。



「ここは、まぁ、多目的ルーム、かな。葵さんが好きなものを置いたり、好きな時に使ってもいい部屋。あとは、俺が仕事で使ったり」



廊下を、2、3歩進んだ所にある、向かって右側のダークブラウンのドアを全開にしながら、結城さんは言った。



この一部屋だけでも、私の部屋より広い。



そう思っていると、結城さんが、共有部屋のドアを静かに閉めてから、次は向かいの部屋のドアノブに手をかけた。



「ここは、葵さんの部屋」



先ほどの部屋と変わらない広さの室内を、私に見せた。




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