心月の夜想曲 上弦 【完】

月蝕のようにゆっくりと・・・ /十五月蝕


サービスエリアで食事を済ませ、少し休憩してから、私と結城さんは再び湾岸線を走り、目的地に向かっていた。


「あと、どのくらいで着きますか?」



ハンドルを握る結城さんに訊くと、結城さんはカーナビに一瞬だけ視線を向ける。



「今、まだ半分だから、あと一つの山越えたらやっと着くよ。……ごめんね。前と同じように葵さんのこと、連れ回して。行き先が分からないドライブって、不安だよね?」



気遣わしげで申し訳なさそうな声で、訊かれた。



「あ、いえ。全然不安ではないです。そういう意味で訊いたんじゃなくて、あとどのくらいで着くのかなって、ただ気になって」



私は笑顔で、そう応えた。



……不安では、ない。




結城さんは私にすごく気を遣い、婚約者とのデートで若干緊張気味の私を解そうと、あまり話題の少ない私の話を聞いてくれたり、逆に色んな話をしてくれたりしているので、不安な気持ちにはならなかった。



その反対に、今から行く場所は一体どういう場所なのか気になっていた。



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