てるてるぼうず(亀更新)

*00-紫龍- /鳥籠のお姫様

「ただいま」

「あ、お帰りー!」


直と二人、のんびり借りてきてあったDVDを見ていた時だった。漸く帰宅した凌さんは、直の出迎えに笑顔で応えていた。


「今日は、律がご飯作ってくれましたー」

「食えんのか?」

「別に凌さんに作ったんじゃないんで」

「ったく、可愛くねぇ奴」

「男に可愛いとかキモイっス」


このっ!と後ろからとびかかってくる凌さんは、いつもと変わらないのに、何だろうか。纏っている空気が、いつもより少しおかしい。

何かでっかい覚悟決めた時みたいな、そんな空気が。


「直ー、ちょっと俺の飯、あっためて」

「りょうかーい!」


ぱたぱたと遠ざかっていく直を確認すると、首の圧迫が解かれた。見上げた俺の視線を受け止めてた凌さんは、直に聞こえないように小さな声で話し始めた。


「新崎総長から、引き継ぐことになったわ」


予想はしていた。
新崎総長の体調的にも、チームがばらけ始めていたことにも兆候はあった。

ただ、もう少し、せめて、直が卒業するその時までは、と願っていた。

あと半年もねえってのにな。


「直には――」

「直は、アンタの決めたことに文句言ったりしねぇよ」


責めてるわけじゃない。
凌さんが、直の事考えなかったわけじゃないのも分かってるし、誰かがしなきゃなんねぇってことも分かってた。


けど、俺は――。


視線を外し、俯いた俺の呟きを拾った凌さんがどんな顔をしていたのかは分からない。

それでも、俺よりずっと、凌さんが大変だってことは、分かってるつもりだ。

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