てるてるぼうず(亀更新)

*01-出逢い- /失くした記憶

「六合正親ぁ?」

「うん」


家に帰って、律とお留守番を命じられた私は、今日も夕飯づくりに励む幼馴染の傍で、今日赴任してきた先生の名を口にしていた。

驚いた顔を見せる律の反応を見て、もしや、と身を乗り出せば、よそ見していた律の手に、フライパンで野菜を炒めていたもやしが飛んだ。


「あちっ!」

「わっ!大丈夫!?」

「~っ。何でお前がその人の名前知ってんだよ。忘れ――!あー、何でもねぇ」

「え?何か言った?」

「いや、何でも」


一旦火を止めて、律の手を引っ張り、水道の蛇口をひねって水で冷やしていた私の耳には、律の声は届いておらず、再度尋ねた私に律はそっぽを向いた。


「紫龍の、元総長だよ。新崎総長の前の」

「だから、紫龍の事知ってたんだ……」

「え?てゆーか、お前、どこで六合さんと会ったんだよ」

「学校……」

「は?」

「だから学校!産休に入った先生の代わりで赴任してきたの!」


私がそう言えば、頭を抱えて、「マジかよ」なんて呟く律に首を傾げる。私が六合さんと会うと何かマズイ事でもあるんだろうか。

律は、私に何を隠してるんだろう。

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