Twilight~救われた心~

2day:蜂蜜レモン

「ちーちゃん。ぼうっとして、どうしたの?疲れちゃった?」

「!…い、いえ…」


アルバイト初日。
景虎さんには、今朝出勤前に取り敢えず、アルバイト始めますと報告だけすませた。少し驚いていたけれど、頑張れ、と一言残して今日も早くからお仕事に。


漸く慌ただしい時間が過ぎ、少しだけできた余裕。
景虎さんと約束した夕飯について考えていれば、リュウさんがひょっこり顔を覗かせた。

ちなみに今日は、片倉君お休みです。


「今、お客さんいないし、ケーキ食べる?」

「え、でも、仕事中ですから…」

「新作だから、試食も兼ねてね」


にっこり微笑んでカウンターに私を手招くリュウさんに半ば強制的に座らされた私の前には、来週からお店のメニューに加えるらしい一口サイズのタルトたち。


ベリー、蜂蜜レモン、チーズ、抹茶、キウイフルーツ。
色とりどりのそれに心が躍る。きっと目が輝いているだろう自分を優しく見つめる視線に顔を上げれば、リュウさんが、「全部食べてね」なんて笑う。


嫌いなものはない。
でも、全部食べちゃってもいいんだろうか。

試食とはいっても、私みたいな舌の肥えてない普通の人間が食べてもいいんだろうか。


「あ、それとも持ち帰る?五つも一気に食べられなかったら、持って帰ってもいいよ」

「え、でも……私だけそんな…」

「いいの、いいの。ちーちゃん今日頑張ったご褒美」


まだ勤務時間ですが……。
という言葉は呑みこんで、お言葉に甘えて持ち帰らせていただくことになった。どれもおいしそうだけど、私は好きなものは最後に残すほうだから。


あ、景虎さん、甘いの平気かな?
そもそも何好きなのかな?男の人って、あんまり甘いの駄目かな。でも、私だけ家で食べるのも……。

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