ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第一章 予兆 /臨時ニュース


その頃、バスの運転手である高田義昭(59)はいつまでも騒がしい生徒たちを気にする様子もなく、ラジオ放送を聞きながら妻が用意してくれた魔法瓶から注いだホットコーヒーをニコニコとうまそうに飲んでいた。

ラジオ放送では、高田さんお気に入りのDJが「あの人に贈りたい曲」というテーマで、視聴者から寄せられたハガキを相手に軽妙なトークを繰り広げている最中だった。

「番組の途中ですが、臨時ニュースです」

突然割り込んできた醒めきった声に、高田は引き込まれ耳をすませた。はじめて背後の生徒たちの声がひどく耳障りにきこえてきた。
 
「今朝未明、X市中央駅構内で起こった薬物汚染とみられる集団中毒事件についての続報が入りました。警察の発表によると、つい先頃、犯人グループからX市の地元新聞社に犯行声明が出され、この集団中毒事件はテロ事件と判明したとのことです。被害にあった会社員など数名は重度の薬物中毒と見られ山神中央病院に緊急入院したとのことです。現在この……」

「ほう、山神中央病院と言ったらこの学校のすぐ近くじゃないか、お気の毒に」

バスの運転手はそうひとり呟くと、まだ続いているニュースのボリュームをゆっくりとあげた。

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