ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第四章 計画 /疑惑

「あ、伊達くん、おかえり、待ってたのよ」
 
伊達が用務員室に戻ると、美雪が笑顔で迎えてくれた。

部屋には冷気が漂っていた。それは窓ガラスが割れ、外から風が入ってきているためだった
 
みんなそろっていて、入り口に近い事務机の側にかたまっている。

「全員そろったので、電話の結果を報告しますよ」
 
そう言って慶太は電話でのやりとりを出来るだけ詳しくみんなに話した。

「そう、新校舎の屋上に……」
 
美雪は浮かない表情だ。

「そんなのやられに行くようなもんだよ」
 
うさ子がきっぱりと言った。

「だが、いずれ奴らはこの校舎内にも攻め込んでくるぜ」

校門を押し倒したほどの連中が、このぼろ校舎の玄関ドアひとつ壊せないはずがない、伊達はそう思っていた。

「そうかなあ、入ってくるかなあ」

基本的に楽天家なうさ子は首を傾げている。

「考えたんですが、この旧校舎の屋上に立てこもるというのは、どうです? ドアはひとつのはずですし、うまくすればヘリで拾いに来てくれるかもしれない」

「それが、出来れば一番良さそうだけど……」

美雪は困ったように松林の方を見た。

「え?」

「無理なんじゃよ、慶太君。ここの屋上は上がれないように出来てるんだから」

きちんと屋上への階段が設置されている新校舎と違い、この旧校舎の屋上へのルートは、三階の廊下の天井に穿たれたマンホール状の穴しかないのだった。

天井は高く、たとえ机を積み上げても届かないだろうことは、六年生の美雪たちには周知の事実だった。だが、まだ二年生の慶太はそこまでこの校舎に詳しくなかった。

「じゃあこうするしかないんじゃないかな。ゾンビが入ってこなかったら、ここにいる。あまり考えたくないけど、もし入ってきたら、その時は新校舎の屋上を目指す……」
 
めずらしくうさ子が提案したとき、

「みんな、ボクだよっ」
 
突然、場違いに快活な声が室内に響き渡った。

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