ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

「松林さんと慶太くんを呼んできて上の階に避難したほうがいいかもしれないわ」

美雪は机を積み上げながら、隣にいるうさ子に話しかけた。

「上の階? 上の階に逃げたって職員室みたいにまた逃げ場所なくなるよ」

「まだ非常階段だってあるし、はしごもあるわ」
 
うさ子は「あ、なるほど」というように頷いた。

はしごというのは、廊下の壁に設置してある避難用はしごのことだ。ボックスの中にしまってあるので、中を確認したわけではないが、はしごが各階に備え付けてあるのはうさ子も知っていた。

「……ん、でも今のうちに裏から逃げ出した方が良くない?」
 
うさ子は、はしごで降りるなんて、怖いしどうも気が進まない、それよりもいっそどこかゾンビがいない窓から(たとえばこの階の廊下の窓、そこからなら校舎の裏手に出られる)逃げた方がいい、そう考えていた。

「いやッ上の階、上の階がベストよ、考えがあるの、……そう…三階の図工室の鍵がいるわね。取ってこなくっちゃ」

興奮した声で美雪は言い、そのまま鍵のある用務員室へ行こうとした。

その時、用務員室の方向から慶太がちょうどやって来た。

「あ、慶太くん、ここはもう危ないから上の階に避難した方がいいわ」

「上の階へですか?」

「うん、図工室に避難しようと思うの」

「……そうですか。わかりました」

何か考えがあるのだろう、慶太はそう思い頷いた。

「私は鍵を取ってくるから、先に行ってて」

「いや、ちょっとやらなけば、いけないことがあって……、あの、美雪さん、用務員室に行くんなら、松林さんに来るように説得してくれませんか? ぼくが言っても全然きいてくれなくて……」

「そう、わかったわ」

事情がよくわからなかったが、美雪は即答した。ゾンビの侵入が近い今、どちらにしても松林には部屋を出てもらわないといけない。

「じゃあ、用が済んだらみんな図工室に集合ね」
 
そう言い残し美雪は用務員室に向かった。 

  • しおりをはさむ
  • 10
  • 0
/ 164ページ
このページを編集する