ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第四章 計画 /階段

ガラガラと玄関ホールに積み上げた机が、再び崩される音がうさ子の耳に聞こえた。

一階の仲間のところに戻ろうと階段を下りていたうさ子は、手洗い場から集めてきた花瓶を、手に二本ずつ、計四本、かなり持ちにくそうに持ち、不格好な姿勢のまま恐怖に固まっていた。

続けてガンガンと床に何かが次々に転がされているような音がきこえた。

これは校内に入りこんできたゾンビがバリケードの机を蹴散らしている音だろう。
 
うさ子は激しく恐怖した。
 
ゾンビはすでに校内に侵入してきている!

──なのにあたしはひとりぼっち。

うさ子は急速に不安になって来た。
 
よく、悩みがなさそうでいいね、なんて言われるけどあたしはホントは心配性で臆病なんだからさあ!

そんなあたしをひとりにするなんて、みんな薄情よ! 
もしこのままゾンビに殺されちゃったら、絶対みんなのところに化けて出てやるから!
 
うさ子がへんな体勢のままそんなことをぶつぶつと考えていると、

「おい、はやくしろッ」
 
すぐ近くから伊達の声が聞こえた。階下に灯油のタンクを手にした伊達が姿を現していて、慶太に急ぐよう言っている。

すぐ近くにゾンビがいるらしく二人は落ち着きなく背後を見ながら階段を上ってくる。

数段先にいるうさ子の存在には二人とも気がついていないようだった。
 
ほっと安堵したうさ子はつい悪い癖が出てしまった。 
「さあッ、ふたりともついてきて! 図工室に行かないとねっ」

突然、頭上から聞こえたうさ子の溌剌とした声に伊達と慶太は、足を止め一瞬ぽかんとした。

お調子者うさ子は、かまわず彼らに背を向け颯爽と階段を上っていった。

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