ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第一章 予兆 /うさ子と美雪

ここで話しは少し時間をさかのぼる。

金太を探すために総勢5名がバスから出発して少したったころ。武田が3階の教室への階段を上っているころ。

「──だからさー、先生はよろしくって言ってたでしょ? それはそういうことなのよ」

そう言ううさ子の声が美雪に聞こえてきた。それに対して困ったように運転手が何か言い、二人はしばらく押し問答を続けていたが、運転手はついに納得した様子だった。

うさ子は誇らしげな表情で振り向くとと、バスのタラップをとんとんと軽快に下り、待っていた美雪に「お待たせ」と笑顔で言った。

「さあ、早く体育館に行かなくちゃ」

うさ子は颯爽と歩き出した。

「今、運転手さんになんて言ってたの?」

体育館のトイレへ並んで歩きだしながら美雪が言った。

美雪はうさ子の行動が理解できなかった。

武田先生と別れた後、いったん体育館に向かって走り出したうさ子だったが、いきなり立ち止まり、美雪に「ちょっと待ってて」と言い残し、バスの方に戻って行ってしまったのだ。

「え、何のこと?」

「とぼけないで、バスの運転手さんと何か話してたでしょ」

「あー、あれね」

うさ子は美雪から目をそらしてニヤッと笑った。

0
  • しおりをはさむ
  • 10
  • 0
/ 164ページ
このページを編集する