ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第五章 希望 /月光

非常階段は、降り続けている雨に濡れていた。

足を取られないように気をつけながら彼らは上り始めた。だが、すぐに美雪が足を止めた。
 
非常ドアの小窓越しに、一階校舎内にいる無数のゾンビが目に入ったのだ。

校門を破り職員室の窓から侵入してきたゾンビたちが、まだ廊下にたくさん留まっている。

きっとこの中に、春樹も金太もいるのだろう、そう思うとひどくやりきれない気持ちがした。

「急ご、美雪。あの女に見つかったらやばいよ」
 
うさ子の声に美雪が頷いたとき、「見つかったぜ」と伊達が低く言った。

溶子ではなく一階廊下のゾンビが、美雪たちに気づき、向かってきていた。

だが、非常ドアに向かってくるゾンビは恐れるにたらない、なぜなら美雪たちが目指しているのは、屋上に出るための階段がある三階廊下だからだ。階段を上りさえすればやり過ごせる。

心配なのは三階の廊下にゾンビがいないか、ということだけだった。

屋上へ出るための階段は廊下の西側手前にある、ドアから屋上まで廊下を進む距離はわずかだが、ゾンビに見つかるとやっかいだ。
 
彼らは非常階段をさらに上った。二階の廊下が見えている。二階にも数体のゾンビが廊下をうろついているが、一階ほどの数はいない。 
 
この調子ならば、三階はもっとゾンビの数が少ないのではないかと、安堵しかけたとき、階段を上っていた美雪の耳にどこか馴染みのある音が聞こえてきた。

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