ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第五章 希望 /炎の壁

三階に到着し、非常ドアから廊下を覗いた美雪が言葉を失った。

廊下のずっと奥、特に突き当たりの音楽室付近にゾンビが何十体と群をなしていた。
 
まさか、音楽を聴いているの?
 
一瞬そんな考えが美雪の頭をかすめる。美雪の声に攻撃を止めた校長先生のことを思うと、そういうこともあるかもしれなかった。
 
だが、考えている暇はない。はやくドアの鍵を開き、屋上への階段に走らなければ、脱出路は完全に閉ざされてしまう。ゾンビに気づかれる前に、はやく。

「美雪ィはやく!」
 
うさ子が美雪のそばに立ち、落ち着きなくゾンビの方を見ながら言った。

「ちょっと待ってよッ」
 
美雪は焦って、もたつきながらも鍵束の中から、ドアの鍵を選び出した。
キーを差し込み、回す、開いた!
美雪がドアを一気に開くと、

「あっ!」
 
思わず美雪は声を上げていた。すでに見つかっていた。何十体というゾンビがうめきをあげ、廊下の奥から彼ら目がけて走ってくる。

「走れ!」
 
伊達が叫び、四人はいっせいに駆け出した。ここからは時間の奪い合いだ。
 
ゾンビが来る前に、屋上へ出なければ。出さえすれば、ヘリが到着するまでのわずかな間、ひとつのドアを死守すればいいだけだ。

屋上の鍵はもう美雪が手の中にしっかりと握っている。目指す階段は、左手に教室を二つ通り過ぎ、角を曲がればすぐだ。それに対してゾンビの先頭は、まだ廊下の中央辺りだ。

間に合う!
 
そう思い美雪たちは走り出した。走るスピードはゾンビよりも速く、距離も近い彼らが、負けるはずがなかった。

思った通りに美雪たちはゾンビよりもはやく曲がり角に差しかかった。だが、瞬間、彼らは息を止めた。目指す曲がり角からいきなりぬうと二体のゾンビが現れたのだ。
 
美雪たちが不意をつかれ躊躇している間に、二体のゾンビは廊下の奥からのゾンビと合流し、完全に進路を塞いでしまった。

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