ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第一章 予兆 /遅れてきた転校生

武田は校門を少し出たところでバスが去っていった方向を呆然と見ていた。

結局追いつけずに、バスはもうすでに影も形もなかった。

武田は何でこんなことになってしまったのかさっぱりわからなかった。ただ荒い息を吐きながら両膝に手をついてうなだれていた。

そこに背の高い少年が一人、坂を上って現れた。

遠足用らしい荷物を肩に背負っているところを見ると、彼は今登校してきたようだ。

少し長めの黒い髪、ハッとするほど整った顔にどこか醒めた感じのする目をしている。

「何だおまえ遅刻か? 今日は休むんじゃなかったのか」

武田はたいして驚きもせずにその少年、伊達剣人に言った。

伊達剣人は武田のクラスの生徒だった。新学年の初日に転校してきて、つい最近六年三組の一員となったばかりだった。

しかし、転校初日から遅刻したり、頻繁に欠席したりで、なかなかクラスにも馴染めずにいるようだった。それも、伊達本人の方に馴染もうとする気がないのだから困ったものだった。

「母さんがどうしても今日は行けっていうから、しょうがねえよ」

額に落ちる前髪をうっとうしそうにかき分けながら、伊達は投げやりに言った。

「お前もおふくろさんにゃ弱いか」

「うるせえよ、先生」

「フフ、お前ラッキーだな。予定通りならもうとっくに出発してる」

「ラッキーでもないけどね、俺ももう間に合わないと思ってたよ。……それでなんかあったの?」

武田は伊達とともに校庭へと戻りながら、事態を簡単に説明することにした。

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