ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第五章 希望 /救援者

炎の向こうに転がる無数のゾンビは血にまみれ、そのほとんどがピクリとも動かずに倒れていた。

倒れているのは町を構成する様々な人々だ。彼らは不幸な犠牲者なのだ。校長や春樹のようにありふれた日常の中、突然襲われて感染者となり、否応なしに他の人々を襲うこととなった。

残酷すぎる光景に、わき上がる吐き気に、美雪は口元を押さえた。
 
横たわるゾンビの向こうには戦闘服に身を包んだ二人の男が自動小銃を持ち立っていた。

美雪たちの気づかない間に、鴉田の要請をうけた特殊部隊の隊員たちが、ヘリで屋上にやって来ていたのだった。

「さあ、はやくこっちに」
 
二人のうち年上と思われる方の隊員が、キビキビとした声で美雪たちに呼びかける。だが、美雪たちは誰も動かず絶句したままその銃撃の後を見ていた。

「非道い……」
 
美雪はそう言いたかった、だが、その銃撃のおかげで屋上への道が開けたという事実は否定できなかった。

「どうしたッはやくこっちに来るんだ!」
 
小銃を油断なく構えた年かさの隊員が再び叫んだ。側にいるもうひとりの隊員は、ガムをくちゃくちゃと噛みながら、気だるそうな目つきで、その背後を固めている。    

「行こう、美雪」
 
うさ子のそっとかけた言葉に、立ち尽くしていた美雪は動き始めた。その後に他の者も続いて行く。

やや火勢の衰えていた床の炎を飛び越え、隊員たちの元へたどり着いた。

足下には折り重なるように、撃ち殺されたゾンビの体がある。

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